昭和29年12月31日、鹿児島市に生まれる。昭和45年『週間少年ジャンプ』の
第5回新人漫画賞に、「小さな命」が入選。同誌の昭和46年1月1日号に掲載され
デビューする。続いて46年上期手塚賞に「スクラップ」で佳作となり、同年下期にも
「ブルースを歌う少女」で手塚賞佳作となった。
 その後約7年間は作品を発表せず、上京して書店で働く。
 昭和53年「忘れ雪」で第2回小学館新人コミック賞(52年度下期)を受賞し、再デ
ビューをはたす。昭和63年、『ビッグコミックスピリッツ』に連載の「ジパング少年」か
ら、ペンネームを”岩重”から”いわしげ”に変える。
 昭和61年「ぼっけもん」で第31回小学館漫画賞を受賞。
 平成14年11月まで、『ヤング・サンデー』に「新・花マル伝」を連載。
 平成15年『モーニング』5月1日号から16年7月22日号まで「まっすぐな道でさみ
しい−種田山頭火外伝−」を連載。
 平成16年『モーニング』10月14日号から「青春の門 筑豊篇」の連載開始。
 『ビッグコミック』に「単身花日」、続いて「上京花日」を連載。2010年7月10日号
から作者入院加療中のため休載となる。2011年9月25日号から連載再開される
が、再び休載となった。
 2013年(平成25年)3月6日逝去。享年58歳。
参考資料『日本漫画家名鑑500』、作品掲載雑誌等 


 このところ、いわしげ孝さんの初期の作品が読みたくて、掲載雑誌を探していました。
作者が、まだ16歳の頃の作品です。デビュー当時から、骨太な作品を描いていたこと
に驚かされました。また、3作目の「ブルースを歌う少女」などは、非常に洗練されてい
る絵という印象です。
 それから8年を経て、「忘れ雪」で再デビューをしたときは、ヘタクソと言いたいほどの
ぎこちないが荒々しい描線になっており、青春の未熟さと若さを表していました。
 以前、掲示板にも書きましたが、私がまんがを集めだしたのは、いわしげさんの『ぼっ
けもん』がきっかけでした。雑誌連載時から愛読しておりましたが、話が進んで行くに連
れて、あまりの切実さに読み続けることが苦しくて、雑誌を購入しても『ぼっけもん』は読
まなくなりました。
 何年も過ぎてから、もう一度読みたくなり、本棚を探したのですが、最後の2巻は購入
してありませんでした。無いとなるとよけいに読みたくなり、東京の古本屋を探し回りま
した。千葉市の古本屋で14巻のセットを見つけ、購入しました。現在は、よく見かけま
すが、当時は本当に最終巻がありませんでした。この時の古書店巡りからまんが収集
にのめり込むことになったわけです。
 今では、いわしげ孝さんは私の大事な作家の一人となっています。(2000.9.17)


岩重孝のデビュー
  岩重孝のデビューは、『週間少年ジャンプ』の第5回新人漫画賞の入選。発表は同誌の昭和45年11月23日号。応募総数3,540編からの入選。
   入選作=(賞状と賞金10万円と記念品)
   『小さな命』  鹿児島県鹿児島市真砂本町   岩 重  孝

  審査員の先生方の作品評は次のとおり。
梶原一騎先生評
 : 「小さな命」は、すなおによくまとめており、叙情のもりあげもうまい。
白土三平先生評
 : 「小さな命」は、熱っぽくかけているがストーリーいま一歩。これからの可能性を感じる。
永井  豪先生評
 : 「小さな命」は、作者が15歳なんだって。ビックリしたなあモウ。テーマをしっかりとらえ、みせ場も十分だもんね。
本宮ひろ志先生評
 : 「小さな命」は若さにあふれとるね。それに、まっ先にいちばんだいじなこと、読む気がおきたよ。

デビュー作「ちいさな命」
  デビュー作の掲載は、『週間少年ジャンプ』の昭和46年1月1日号。
31ページ(171ページ〜201ページ)。作品名は正しくは「ちいさな命」となっている。
 巻末の作者のことば。「ぼくのデビュー作。このよろこびを胸に、これからも、がんばるぞ。 <孝> 」


第1回手塚賞(昭和46年上期)に佳作入賞
  『少年ジャンプ』誌上で行われた第1回手塚賞で佳作となった。発表は昭和46年6月28日号。応募作品は1355編、入選は該当作がなく、4編が佳作となった。
 岩重孝の作品は「スクラップ」。川崎のぼる先生の選評は次のとおり。
 岩重くんの「スクラップ」の努力をかいたい。絵のバックのムードづくりにも、神経のこまかさがみられ、よかった。
 だが、ストーリーの点で、まだ、神経のゆきとどかないところがみえ、次回作に期待したいと思った。
 将来性は、ある。

第1回手塚賞佳作入選作品「スクラップ」
  作品の掲載は、『週間少年ジャンプ』の昭和46年8月30日号。(No.36)
31ページ(75ページ〜105ページ)。
「第一回手塚賞佳作の栄誉に輝く最新鋭の力作!人間のくず同士の友情がすなおな感動をよぶ!」
 巻末の作者のことば。「手塚賞佳作入選なんて、夢のよう!これからもバリバリかくぞ! <孝> 」


第2回手塚賞(昭和46年下期)に佳作入賞
  『少年ジャンプ』誌上で行われた第2回手塚賞で佳作となった。佳作入選作品は「ブルースを歌う少女」

第2回手塚賞佳作入選作品「ブルースを歌う少女」
  作品の掲載は、『週間少年ジャンプ』の昭和47年2月28日号。(No.10)
31ページ(203ページ〜233ページ)。
「歌手をめざし、必死に生きる薄幸の少女の、苦しみと悲しみを、しみじみと歌う!
感動に胸ふさぎ共感の涙よぶ! 迫真ドラマ!!」
 巻末の作者のことば。「学生生活最後の年なので大いに勉強しております。社会勉強も? <孝> 」
ハロージャンプガイ(編集後記)
「南国産の大型新人・岩重孝くんの『ブルースを歌う少女』感想はいかがですか!?
『小さな命』いらい、一作ごとに筆力を増す岩重くんの次回作にご期待!(山田)」